こんにちは。神戸市中央区、JR「三ノ宮駅」より徒歩30秒にある歯医者「神戸三宮アステオ歯科」です。
顎関節症は、あごの関節やその周囲の筋肉に異常が起こり、口を開けにくくなったり、あごに痛みを感じたりする病気です。関節からカクカクと音が鳴るといった症状もよく見られます。10代から40代の女性に多く見られ、日常生活に支障をきたすことも少なくありません。
この記事では、顎関節症の主な症状や原因、診断方法、そして治療法についてわかりやすく解説します。
顎関節症とは

顎関節症は、あごの関節やその周囲の筋肉に異常が生じることで、口の開閉や咀嚼に支障が出る病気です。日本では成人の約10%が何らかの症状を経験しているとされるほど身近な疾患です。
顎関節症の症状
顎関節症の症状として代表的なのが、関節雑音と呼ばれるカクカクとした音です。このほかにも、以下のような症状が見られます。
関節雑音
口を開けたり閉じたりしたときに「カクカク」「ミシミシ」と音が鳴る状態です。痛みを伴わない場合でも、症状が悪化する可能性があるため経過観察が重要です。
開口障害
指2本分程度しか口が開かなくなる状態で、顎の動きが制限されます。日常生活に支障をきたす場合があります。
顎関節痛・咀嚼筋痛
あごの関節や周囲の筋肉に痛みを感じる状態で、食事や会話が困難になることがあります。
顎関節症の原因

顎関節症は、あごの関節や筋肉に負担がかかることによって生じる疾患ですが、その背景にはさまざまな原因が複雑に関与しています。特定の一因に限らず、複数の要素が重なることで発症すると考えられており、個々の生活習慣や身体的な特徴、心理的な要因が深く関係しています。
噛み合わせや歯並び
もっとも代表的な原因の一つが噛み合わせの異常です。上下の歯が正しく噛み合っていないと、あごに余分な力がかかり、関節や筋肉に負担が集中します。
例えば、左右どちらか一方でばかり噛む癖がある場合や、歯並びのずれ、詰め物や被せ物の高さが合っていない場合なども、顎関節への圧力を生み出す要因となります。噛み合わせのわずかな狂いであっても、長期間にわたり継続することで顎関節症へとつながることがあります。
習慣的な動作や姿勢
日常生活の中で無意識に行っている動作も、顎関節に悪影響を及ぼすことがあります。例えば、歯ぎしりや食いしばりといった癖は、睡眠中や緊張時に起こりやすく、強い力であごの筋肉が収縮するため、関節に過剰な負担をかける原因となります。
また、うつぶせ寝や頬づえをつく姿勢、長時間のスマートフォン操作で下を向き続けるような姿勢も、あごの位置を不自然にずらす要因となります。
精神的ストレス
顎関節症の背景には、心理的なストレスも大きく関与していることが分かっています。緊張や不安を感じているとき、人は無意識のうちに歯を食いしばったり、筋肉をこわばらせたりする傾向があります。
このような状態が続くと、咀嚼筋や関節周囲の筋肉に過度な緊張が生じ、痛みや違和感へと発展するのです。また、ストレスが原因で睡眠の質が低下すると、歯ぎしりが悪化することもあり、顎関節への悪影響がさらに増すと考えられています。
外傷やあごへの急激な負荷
過去にあごを強く打った経験や、口を大きく開けたことによる関節の損傷も、顎関節症の引き金になることがあります。例えば、硬い食べ物を急に噛んだり、長時間にわたって大きく口を開けたりした場合、関節の構造や周囲の筋肉に過緊張が起こって症状が現れることがあります。
その他の身体的要因
骨格の形や関節の構造自体に問題がある場合にも、顎関節症を引き起こすことがあります。特に、関節内の軟骨である関節円板がずれることで、関節の動きに異常が生じるケースは少なくありません。
関節円板のずれは、関節雑音や開口障害などの直接的な症状として現れることが多いです。自然に改善する例もある一方で、慢性的に悪化するケースもあります。
顎関節症の症状がある場合は何科を受診すればよい?

顎関節症の症状として、あごの痛みや口の開閉時の違和感、関節音などが見られる場合、まず受診すべき診療科は歯科または口腔外科です。特に、顎関節や咀嚼筋に関する知識と経験をもつ歯科医師がいる医療機関での診察が望ましいでしょう。
また、症状が重い場合や、関節内部の詳細な検査や外科的処置が必要と判断された場合には、大学病院や総合病院の口腔外科への紹介が行われることもあります。耳鼻咽喉科を受診するケースもありますが、基本的にはまず歯科で相談しましょう。
顎関節症の診断方法

顎関節症の診断は、複数の工程を組み合わせて進められます。歯科医師は症状の詳細を把握し、原因や重症度を正確に見極めるために、以下のような診査を行います。
問診による症状の確認
以下のような自覚症状について詳しく確認されます。
- あごの痛みの有無
- 口の開閉時に音がするか
- 開口しづらさ、食事や会話への影響
- 症状が始まった時期や頻度、悪化する要因
視診・触診による評価
歯科医師があごや顔周りを確認し、以下の方法で動きや筋肉の状態を調べます。
- 開口量の測定
- 関節の動きやズレの有無
- 顎関節や咀嚼筋の圧痛や緊張の程度
画像検査による診断補助
より詳しい内部構造の把握が必要な場合は、レントゲン検査やMRI検査が行われます。
レントゲン検査では顎の骨の状態や関節の変形・ズレの有無を確認し、MRI検査では関節円板や軟組織の位置・状態を確認します。MRI検査は、慢性化や原因不明のケースで用いられることが多いです。
顎関節症を治療する方法

顎関節症の治療は、症状の程度や原因によって異なります。基本的には、あごの関節や周囲の筋肉への負担を減らすことを目的とし、痛みの軽減や機能の回復を目指して段階的に治療が行われます。
多くの場合、手術を必要とせず保存療法を中心とした対応で改善が期待できます。
生活習慣の見直しとセルフケア
軽度の顎関節症では、生活習慣の改善だけでも症状が緩和されることがあります。あごに負担をかける動作や姿勢を避けることが重要です。硬い物を避けてやわらかい食事を心がけたり、口を大きく開けないように注意したりすることで、関節や筋肉への負担が軽減されます。
さらに、あごの筋肉を温めることで血流を促し、痛みや緊張を和らげる効果も期待できます。
精神的な緊張が関係している場合には、ストレスを軽減することも重要です。リラクゼーション法や十分な睡眠を取り入れることで、無意識の歯ぎしりや食いしばりの予防にもつながります。
薬物療法
顎関節や筋肉の炎症や痛みが強い場合には、薬を用いた治療が行われます。主に使用されるのは非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)で、痛みや腫れを抑える効果があります。
また、筋肉の緊張が原因と考えられるケースでは、筋弛緩薬が処方されることもあります。必要に応じて抗不安薬が使われることもあり、ストレスや不眠の影響を軽減することで、間接的に症状の改善を図る方法もあります。
スプリント療法(マウスピース治療)
歯科医院で行われる治療の中でも、多く用いられているのがスプリント療法です。これは、上下どちらかの歯に装着するマウスピースを用いて、あごの位置を安定させたり、歯ぎしりや食いしばりを軽減したりする治療法です。
夜間に装着するタイプが一般的で、関節や筋肉への負担を和らげる効果が期待されます。
スプリント療法は、特に噛み合わせのズレが原因となっている場合に有効であり、症状が重くなる前の早い段階での装着が効果的です。使用にあたっては歯科医師による定期的な調整が必要となります。
理学療法や運動療法
顎関節や筋肉の柔軟性を取り戻すために、理学療法や運動療法が取り入れられることもあります。例えば、開口訓練やストレッチによって関節の可動域を広げたり、筋肉の緊張を和らげたりする方法です。
自己判断で行うのではなく、歯科医師や医療機関の指導のもとで無理のない範囲で実施することが推奨されます。
外科的治療
顎関節症の多くは保存療法で改善が期待できますが、まれに関節内に著しい異常がある場合や、強い痛み・開口障害が長期間続いて日常生活に支障をきたしている場合には、手術が検討されることがあります。
関節鏡手術や関節形成術など、症状や状態に応じた方法が選択されますが、外科的治療は最終手段として位置付けられているため慎重に判断されます。
まとめ

顎関節症は、あごの関節や筋肉に異常が起こることで、口の開閉がしにくくなったり、痛みや音が出たりする疾患です。原因は噛み合わせの乱れ、歯ぎしりやストレス、悪い姿勢などさまざまです。
顎関節症を放置すると、激しい痛みや精神的ストレス、さらには肩こり・頭痛を引き起こすリスクがあります。症状に気づいたら、早めに歯科や口腔外科を受診しましょう。
顎関節症でお悩み方は、神戸市中央区、JR「三ノ宮駅」より徒歩30秒にある歯医者「神戸三宮アステオ歯科」にお気軽にご相談ください。
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