こんにちは。神戸市中央区、JR「三ノ宮駅」より徒歩30秒にある歯医者「神戸三宮アステオ歯科」です。

従来の虫歯治療では、虫歯部分を削って詰め物や被せ物をするのが一般的でした。

しかし、近年では、できるだけ歯を削らずに治すことを目的とした「ドックベストセメント」という新しい虫歯治療が注目されています。虫歯部分をすべて削り取らず、薬の力で虫歯菌を殺菌する治療法です。

痛みが少なく、神経を残せる可能性が高いことから、「自分の歯を残したい」「治療の痛みが苦手」という方にも選ばれています。

この記事では、ドックベストセメントとはどのような治療法なのか解説します。メリットやデメリット、治療の流れについても解説しますので、ぜひ参考にしてください。

薬を使った虫歯治療「ドッグベストセメント」とは

ドックベストセメントには、銅イオンや鉄イオンなどの抗菌作用をもつミネラル成分が含まれており、虫歯菌を死滅させて進行を食い止めることを目的に使用されます。虫歯の部分をすべて削り取るのではなく、感染していない健康な歯質をできるだけ残すのが特徴です。

薬剤を塗布した上からセメントで封鎖し、薬の抗菌作用で虫歯の再発を防ぎながら、歯の自然修復を促します。

ドックベストセメントと一般的な虫歯治療の違い

一般的な虫歯治療では、虫歯に感染した部分をすべて削り取ってから、レジン（樹脂）や銀歯などの詰め物をします。一方、ドックベストセメントでは、虫歯菌を殺菌して進行を止めることを目的としているため、感染が深い部分をすべて削り取る必要がありません。

虫歯の進行を止める薬を塗布したあと、その上からセメントで封鎖し、薬の効果で虫歯菌の活動を抑制します。そのため、歯を削る量を最小限に抑えられるのです。

ドックベストセメントのメリット

ここでは、ドックベストセメントのメリットについて解説します。

神経を残せる可能性がある

通常、虫歯が神経の近くまで進行すると、神経や血管を取り除く抜髄治療が行われるのが一般的です。

しかし、ドックベストセメントでは、薬剤の殺菌作用によって、神経を保護しながら虫歯の進行を抑えられる可能性が高まります。歯の神経を抜くと、歯がもろくなったり、将来的に根の病気を起こしたりするリスクがありますが、神経を温存できれば、歯の寿命を延ばすことにもつながります。

すべての症例に適用できるわけではありませんが、神経を残したい場合に選択されることもあります。

治療中の痛みや不快感が少ない

一般的な虫歯治療では、削る際にキーンという音や振動を不快に感じる方も多いでしょう。ドックベストセメントでは、削る量が少ないため、治療中の痛みや不快感を軽減できます。削るのが表面のみであれば、麻酔を使用しないことも多いです。

小さな虫歯の治療や、お子さまなど、音や痛みに敏感な方の治療にも対応可能です。

治療時間が短く通院回数も少ない

ドックベストセメントは、薬を塗布して封鎖するだけのシンプルな治療法です。そのため、治療時間が短く、1〜2回の通院で完了することもあります。

大がかりな治療器具や型取りが不要な場合も多く、忙しい方にとっても受けやすい治療といえるでしょう。

ドックベストセメントのデメリット

ドックベストセメントは、歯を削る量を少なくできるというメリットがありますが、ほかの治療と同様にメリットだけではありません。ここでは、治療を検討する前に知っておきたいデメリットや注意点を紹介します。

保険が適用されない

ドックベストセメントは、現在保険適用が認められていません。治療費は歯科医院によって異なりますが、虫歯1本あたり1万〜2万5,000円程度が相場です。

一般的な虫歯治療より費用が高くなる傾向がありますが、神経を残せる、痛みが少ないなどのメリットを考慮して選ばれることが多いです。

適応が難しい場合がある

虫歯が深く進行して歯の神経がすでに感染している場合や、歯根まで虫歯が達している場合には、ドックベストセメントを使っても効果が期待できません。また、歯の破折や大きく欠けている場合も、詰める前に土台の治療が必要になることがあります。

薬の効果には個人差がある

虫歯の進行度や歯の状態によっては、ドックベストセメントの効果に差が出ることがあります。また、薬で虫歯の進行を抑えても、口腔内の衛生状態が悪ければ再発のリスクがあります。

治療後も、毎日の歯磨きや定期的なメンテナンスを続けることが大切です。

ドックベストセメントの治療の流れ

ドックベストセメントは、以下のような流れで治療が行われます。

検査・診断する

歯科医師による診察やレントゲン検査などによって、虫歯の位置や深さを確認します。適応できるか判断するために、虫歯の進行度を調べる必要があるのです。

虫歯が深く、すでに神経まで感染している場合は、ほかの治療法を提案されることもあります。

歯を少し削る

従来の虫歯治療のように虫歯部分をすべて削るのではなく、基本的に歯の表面のエナメル質のみ削ります。削る量が少ないため、麻酔を使わなくても痛みを抑えて治療できる場合があります。

薬剤を塗布する

虫歯を除去したあと、薬剤を虫歯の部分に塗布します。薬剤に含まれる銅イオンや亜鉛イオンなどの殺菌成分によって、虫歯菌の繁殖を抑えながら歯の再石灰化を促します。

薬が歯の内部で作用することで、虫歯の進行を止めるとともに、残った歯質を強化する効果も期待できます。

詰め物をする

薬剤を塗布した部分をレジン（樹脂）やセメントで封鎖します。虫歯菌が再び入り込まないようにしっかり密閉し、表面を整えて噛み合わせを調整します。この段階で治療が完了するケースも多く、通院回数は1〜2回で済むことが多いです。

経過を観察する

治療後は、定期的に歯科医院でチェックを行います。ドックベストセメントは薬の効果で虫歯の進行を止める治療法のため、虫歯の進行が止まっているか、神経に異常がないかを確認することが大切です。

ドックベストセメントができないケース

前述したとおり、ドックベストセメントは、すべての症例に適応できるわけではありません。ここでは、ドックベストセメントができないケースについて解説します。

虫歯が神経まで進行している場合

ドックベストセメントによる治療は、神経を残せる段階の虫歯が対象です。虫歯が歯の神経（歯髄）まで達している場合、すでに神経が細菌感染を起こしている可能性があります。歯の神経を取り除く根管治療が必要となり、ドックベストセメントでは対応できません。

虫歯の範囲が広すぎる場合

歯の大部分が虫歯菌に侵食されている場合も、ドックベストセメントによる治療が難しくなります。歯の形を維持できないほど損傷していると、薬を使って封鎖できず、再感染のリスクが高くなるためです。

虫歯が大きく広がっている場合は、根管治療後に被せ物（クラウン）をするなど、従来の虫歯治療が行われます。

歯周病が進行している場合

虫歯だけでなく、歯周病も併発しているケースでも、ドックベストセメントでの治療が難しくなります。歯周病によって歯を支える骨が大きく失われていると、虫歯治療を行っても歯がぐらつく可能性があるためです。

そのため、歯周病の状態が重度の場合には、基本的に歯周病治療を優先して行われることが多いです。

定期受診ができない場合

ドックベストセメントは、特に治療後のメンテナンスが重要な治療法です。通院やセルフケアが十分に行えない場合、薬の効果が発揮しているか、再感染していないかを確認できず、再発リスクが高まるためです。

そのため、通院が難しい方では適応が難しい場合があります。

まとめ

ドックベストセメントは、薬剤の力で虫歯菌の働きを抑え、歯をできるだけ削らずに治すことを目指す治療法です。痛みが少なく、神経を残せる可能性があるという点で、選択されることが多いです。

ただし、虫歯が深く進行している場合は、適応できない可能性があります。保険適用が認められていないため、自費診療となる点にも注意が必要です。

ドックベストセメントに興味がある方は、現在の歯の状態や治療方法について歯科医師に相談しましょう。

ドックベストセメントによる治療を検討されている方は、神戸市中央区、JR「三ノ宮駅」より徒歩30秒にある歯医者「神戸三宮アステオ歯科」にお気軽にご相談ください。

当院は、歯科治療から根管治療（歯根治療）、審美的なセラミック治療まで様々な治療を提供しています。診療案内ページはこちら、ネット診療予約も受け付けておりますので、ぜひご覧ください。