こんにちは。神戸市中央区、JR「三ノ宮駅」より徒歩30秒にある歯医者「神戸三宮アステオ歯科」です。
「歯磨きをしていても歯茎から血が出る」「歯周病と診断されたけれど、通常の治療だけで本当に治るのか不安」このような悩みを抱えている方は少なくありません。
この記事では、従来の歯周病治療に加えて注目されている口腔除菌治療について、その仕組みや効果、具体的な治療の流れ、そして費用の目安まで詳しく解説していきます。この記事を参考に、ご自身の歯周病治療の選択肢として口腔除菌治療を検討してみてください。
口腔除菌治療とは

口腔除菌治療を理解するためには、まず歯周病そのものを知ることが欠かせません。
歯周病とは、歯と歯茎の境目にある歯周ポケットと呼ばれる溝に細菌が入り込み、炎症を起こすことで進行する感染症です。初期には歯茎の腫れや出血がみられ、悪化すると歯を支える骨が溶けて、最終的には歯を失うこともあります。
決して珍しい病気ではなく、日本人の成人の内、約8割は歯周病、またはその予備軍と言われています。
歯周病の原因となる細菌は、酸素の少ない環境を好む嫌気性菌です。そのため、歯周ポケットの奥深くに潜り込み、そこで増殖しやすいという特徴があります。
従来の治療では、スケーラーという器具を使って歯石や汚れを削り取る物理的なクリーニングが中心でしたが、器具が届きにくい深部までは完全に清掃しきれないことがあります。その結果、目に見えない微細な細菌や、ポケットの奥に潜む菌が残ってしまうことがありました。
そこで登場したのが、薬剤の力で細菌そのものを減らす口腔除菌治療です。
治療の前には、まず位相差顕微鏡を用いて口腔内の細菌を観察し、歯周病原菌の種類や数、活動性を確認します。細菌の状態を可視化することで、患者さま自身も自分の口腔環境を理解しやすくなります。
検査で特定された細菌の種類や量に応じて、最も効果的と考えられる抗菌薬を選択・使用し、細菌を減らしていきます。治療時には、抗生物質を内服して全身的に作用させる方法に加え、歯周ポケット内へ薬剤を直接注入する局所投与を併用することもあります。
局所投与は、全身への負担を抑えつつ、問題のある部位に集中的に薬を届けることが可能です。
口腔除菌治療は、従来の歯石除去にとどまらず、目に見えない細菌レベルにまで踏み込んでアプローチし、口腔内を細菌が増えにくい環境へと整えていく治療なのです。
口腔除菌治療のメリット・デメリット

口腔除菌治療には多くの利点がある一方で、注意すべき点も存在します。治療を検討する際には、両面を理解した上で判断することが大切です。
メリット
大きなメリットとして、従来の機械的清掃では届きにくい歯周ポケットの深部に潜む細菌にもアプローチしやすくなる点が挙げられます。歯周病が進行するとポケットが深くなり、器具だけではどうしても清掃しきれない部分が出てきます。
しかし、口腔除菌治療では薬剤が組織の奥まで浸透するため、こうした細菌も効果的に減らすことができます。
また、治療期間の短縮が期待できる点も魅力です。通常の歯周病治療では複数回の通院が必要ですが、除菌治療を併用することで細菌数が早期に減少し、全体の治療期間が短くなる傾向があります。
忙しくて頻繁に通院しにくい方にとって、負担を軽減できる選択肢となるでしょう。
さらに、口臭の改善にもつながります。歯周病による口臭の主な原因は、細菌が作り出す揮発性硫黄化合物です。口腔除菌治療で原因菌が減少すれば、それに伴って口臭が軽減される可能性が高まります。
デメリット
一方で、口腔除菌治療にはいくつか注意すべき点もあります。
まず、抗生物質を使用する場合には副作用のリスクが伴います。下痢や吐き気などの消化器症状が出ることがあり、まれにアレルギー反応が起こる可能性もあります。特に、過去に抗生物質でアレルギーを経験したことがある方は、必ず事前に歯科医師へ伝えておきましょう。
また、抗生物質の使用は、耐性菌の問題とも深く関わっています。不適切な使用や過度な使用を続けると、薬が効きにくい耐性菌が生まれる可能性があります。そのため、安易に繰り返すことは推奨されません。
さらに、費用面の負担も考慮する必要があります。口腔除菌治療の多くは保険適用外の自由診療となるため、患者さまの経済的負担が大きくなる場合があります。
また、口腔除菌治療はあくまで細菌数を減らすための手段です。治療後も、適切なブラッシングや定期的なメンテナンスを続けなければ、再発のリスクが残ることも理解しておく必要があります。
口腔除菌治療の流れ

口腔内除菌治療は、一般的に以下のような流れで行われます。
お口の状態と原因菌を調べる
最初に行われるのは、歯周ポケットの深さの測定や出血、動揺の有無のチェック、レントゲン撮影などです。これらの検査によって、歯周病の進行度や口腔内の状態を正確に把握します。
また、顕微鏡検査やPCR検査では、歯茎の周りから採取したプラークに含まれる細菌の種類や量を調べ、抗菌薬や抗真菌薬の選択に役立てます。患者さまに合った薬剤や治療法を決めるために、これらの検査はとても重要です。
口腔除菌治療の実施
検査の結果に基づいて、歯周病の原因菌に合わせた内服薬を数日〜1週間ほど使用することがあります。服用期間中は、飲み忘れのないように注意しましょう。
また、歯周病菌やカビに効果のある成分を含む専用歯みがき剤や洗口剤を一定期間使用し、細菌数を減らしていきます。
この期間中は、ブラッシングの質を高めるための指導も行い、歯茎の腫れや出血、口臭の変化をチェックします。炎症が落ち着けば、患者さまも治療の効果が実感しやすくなります。
加えて、除菌期間中や終了後には、細菌のすみかを徹底的に減らすために歯石やプラークを徹底的に除去するクリーニングを行います。超音波スケーラーや手用スケーラーを使って、歯茎の上や歯周ポケット内部に付着した歯石やプラークを除去します。
除菌効果が高まっているタイミングでクリーニングを行うことで、再感染のリスクを下げられます。
メンテナンス
治療後は、3〜6か月ごとの定期検診やプロフェッショナルケアを継続することが大切です。歯周ポケットの深さや出血の有無をチェックし、必要に応じて追加処置を行います。
また、専門的なクリーニングで着色やバイオフィルムを除去することで、細菌が停滞しにくい口腔環境を保てます。
日々のセルフケアでは、歯ブラシだけでなくフロスや歯間ブラシの使い方を見直し、特に就寝前のケアを丁寧に行うことが重要です。歯周病は再発しやすいため、定期的なメンテナンスと生活習慣の見直しが欠かせません。
口腔除菌治療後の注意点

口腔除菌治療でお口の中が清潔になった後は、その良い状態をどれだけ長く維持できるかが重要です。ここでは、治療後に特に意識したいポイントをまとめます。
日々のセルフケアの質を高める
口腔除菌治療で細菌が減っても、食事をすればプラークは必ず作られます。毎日のブラッシングが再感染を防ぐ基本です。
歯科衛生士から習った磨き方を続け、歯ブラシに加えてフロスや歯間ブラシも活用しましょう。日々のケアを少しアップデートすることが、良い状態を保つ近道です。
定期的なプロフェッショナルケアを続ける
どれだけ丁寧に磨いても、磨き残しを完全にゼロにすることはできません。3〜6か月ごとに歯科医院で検診とクリーニングを受けることで、再発の兆候を早期に発見し、適切に対処できます。
定期検診は病気を探す場ではなく、健康を維持するための習慣と考えて取り組みましょう。
口腔除菌治療の費用

口腔除菌治療は、多くの場合自費診療となります。保険診療が最低限の機能回復を目的としているのに対し、自費診療はより質の高い治療や根本的な原因解決を目指すためです。
口腔除菌治療の費用は、歯科医院の方針や使用する検査機器、薬剤の種類によって異なりますが、一般的には一連のプログラムで3万円〜10万円程度が目安です。この費用には、以下のような項目が含まれることが多いでしょう。
- 位相差顕微鏡などを用いた細菌検査
- 除菌薬剤の処方
- 丁寧なクリーニング
- 治療後の再評価のための検査
一見すると高額に感じるかもしれませんが、歯周病を放置して抜歯に至り、その後インプラントや入れ歯が必要になった場合には、数十万円の費用がかかることもあります。早期に原因菌へアプローチして歯を守れば将来的な治療費を抑えられる可能性が高いでしょう。
長い目で見れば、コストパフォーマンスの高い選択肢と言えるかもしれません。
まとめ

口腔除菌治療は、歯周病の原因である細菌に直接アプローチすることで、症状の改善や再発予防を目指す治療法です。基本的な歯周治療と組み合わせることで効果が高まり、口腔内環境の安定につながります。
口腔除菌治療を検討されている方は、神戸市中央区、JR「三ノ宮駅」より徒歩30秒にある歯医者「神戸三宮アステオ歯科」にお気軽にご相談ください。
当院は、歯科治療から根管治療(歯根治療)、審美的なセラミック治療まで様々な治療を提供しています。診療案内ページはこちら、ネット診療予約も受け付けておりますので、ぜひご覧ください。














