こんにちは。神戸市中央区、JR「三ノ宮駅」より徒歩30秒にある歯医者「神戸三宮アステオ歯科」です。
アマルガムという言葉を聞いたことはありますか。銀色の詰め物として、かつて多くの虫歯治療に使用されてきた歯科用合金です。
耐久性や操作性に優れている一方で、主成分に水銀が含まれていることから、健康への影響を心配する声も少なくありません。そのため、過去に施術を受けた方が除去を希望するケースも多く見られます。
この記事では、アマルガムの基本情報から、除去の流れ、安全性、費用の目安まで詳しく解説します。
アマルガムとは

アマルガムとは、水銀を主成分とし、銀や銅、スズなどの金属を混ぜた歯科用の詰め物です。かつては虫歯治療の際に広く使用されており、特に保険適用で安価だったことや、詰めやすく長持ちする性質から多くの歯科医院で採用されてきました。
しかし、水銀が約50%を占めるという性質上、体内への影響を懸念する声が高まり、現在では使用を控える傾向にあります。見た目が銀色で目立ちやすいという点も、審美性を重視する現代の治療方針にはそぐわない場合があります。
そのため、過去にアマルガムを使用された患者さんが除去を希望するケースも少なくありません。
アマルガムが身体に及ぼす影響

アマルガムの主成分である水銀は常温で蒸発しやすい特性を持ち、アマルガムから微量の水銀蒸気が放出されることが知られています。これらの蒸気は呼吸や唾液を通じて体内に取り込まれ、蓄積する可能性があります。ここでは、アマルガムが身体に及ぼす影響について解説します。
水銀蒸気が臓器に蓄積する
食事や歯磨き、歯ぎしりなどの行為によってアマルガムから水銀蒸気が発生することがあります。これらの蒸気は肺から吸収され、血液を通して全身に運ばれます。特に、脳や腎臓などの臓器に蓄積しやすいとされています。
長期間にわたる微量の水銀曝露は、神経系や免疫系、腎機能などに影響を及ぼす可能性が指摘されています。
胎児に悪影響を及ぼす可能性がある
妊娠中の女性がアマルガムを使用している場合、水銀が胎盤を通じて胎児に移行する可能性があります。
研究によれば、アマルガムを充填した母親の血液中の水銀濃度は、充填していない母親よりも高く、胎児の肝臓や腎臓にも水銀が蓄積する傾向が見られました。これにより、胎児の発育や神経系の発達に影響を及ぼす可能性があるのです。
金属アレルギーを引き起こすリスクがある
アマルガムに含まれる水銀やそのほかの金属は、金属アレルギーの原因となることがあります。皮膚のかゆみや発疹、口内炎などの症状を引き起こすことがあり、アマルガムを使用している患者さんのなかには、これらの症状に悩まされている方もいます。
金属アレルギーの診断には、パッチテストなどの検査が用いられます。
アマルガムとほかの金属素材の違い

歯の詰め物や被せ物として銀歯と呼ばれる治療材料が使われることがありますが、そのなかでもアマルガムとそのほかの金属素材には明確な違いがあります。
見た目はどちらも銀色で、保険診療で用いられることがあるため混同されやすいですが、構成成分や安全性、現在の使用状況には大きな差があります。
素材
アマルガムとは、水銀を主成分とし、銀・スズ・銅などの金属を混ぜた歯科用の合金です。
柔らかく、歯の窩洞(かどう)に流し込みやすい性質を持ち、短時間で硬化するため、虫歯治療後の詰め物として長く使用されてきました。耐久性が高く、操作性にも優れていたことから、かつては多くの歯科医院で導入されていました。
一方、現在は金銀パラジウム合金を使用した銀歯が被せ物・詰め物として使われています。金属を溶かし、歯に合わせて成形するため、アマルガムとは製法や用途も異なります。
金銀パラジウム合金は、アマルガムに比べて見た目がなめらかで、金属としての安定性も高いため、現在でも保険診療で広く採用されています。
水銀の有無
アマルガムには約50%の水銀が含まれており、使用中や除去時に微量の水銀蒸気が体内に取り込まれるおそれがあります。そのため、長期的な健康への影響や金属アレルギーの原因となる可能性があることが懸念されているのです。
これに対して、金銀パラジウム合金などの銀歯には水銀は含まれていません。そのため、水銀中毒などのリスクはなく、アマルガムに比べると身体への影響は少ないとされています。
ただし、パラジウムやニッケルなどほかの金属によるアレルギーが起こるケースも報告されており、完全にリスクがないわけではありません。
審美性
アマルガムは経年劣化により黒ずみが生じることがあり、歯ぐきとの境目が目立つ場合があります。
一方、銀歯も見た目が目立つ点では共通していますが、劣化のスピードや変色の程度は少ないとされています。
アマルガム除去は安全?

アマルガムは水銀を含む素材であるため、除去時には水銀蒸気や微粒子が発生する可能性があります。そのため、安全に取り除くためには、適切な設備と技術が欠かせません。
近年では、身体への影響を最小限に抑えるため、専用の吸引装置やラバーダム(歯の周囲を隔離する器具)を使用した除去法が一般的になっています。これにより、水銀蒸気の拡散を防ぎ、患者さんの吸入リスクを大幅に軽減することが可能です。
また、除去時に飛散したアマルガムの破片が体内に取り込まれることを避けるために、口腔内をしっかり保護したうえで処置が行われます。歯科医師が安全管理に十分配慮していれば、アマルガム除去による健康被害のリスクは極めて低いとされています。
ただし、安易に自己判断で除去を希望するのではなく、まずは歯科医院で現在の状態や必要性について相談することが大切です。
アマルガム除去の流れ

アマルガムを安全に取り除くためには、専門的な知識と設備が必要です。ここでは、歯科医院で行われるアマルガム除去の一般的な流れについて解説します。
カウンセリングと事前検査
まず初めに行われるのが、口腔内の状態を確認するカウンセリングです。アマルガムの充填箇所の数や位置、劣化の程度を確認し、除去の必要性や適切な方法について歯科医師と相談します。
また、金属アレルギーの疑いがある場合には、事前にパッチテストなどの検査が行われることもあります。こうした準備を経て、安全かつ計画的に除去が進められます。
感染防止対策
処置当日は、アマルガム除去中に水銀蒸気や金属粉末が飛散しないよう、さまざまな感染防止措置が取られます。たとえば、ラバーダムと呼ばれるシートで対象の歯だけを隔離し、ほかの部位への影響を最小限にとどめます。
また、高性能のバキューム(口腔外バキューム)を使用し、水銀蒸気が体内に取り込まれないよう配慮がなされます。歯科医師やスタッフも、水銀を吸引しないよう専用のマスクや保護具を着用し、作業に臨みます。
アマルガムの除去
次に行われるのがアマルガムの切削・除去です。高回転の器具を用いて詰め物を細かく削り出し、短時間で効率的に除去していきます。このとき、摩擦熱によって水銀蒸気が発生しないよう、大量の水を同時に使用しながら処置が進められるのが一般的です。
無理に力をかけず、丁寧に少しずつ削り取ることが重要とされており、歯科医師の技術が問われる場面でもあります。
審美性に配慮した修復
アマルガムがすべて除去されたあとには、新たな詰め物や被せ物の処置が必要となります。除去後の歯は、虫歯の再発や強度の低下を防ぐため、コンポジットレジンやセラミック、ジルコニアなどの安全性と審美性に配慮した素材で修復されることが一般的です。
どの素材を使用するかは、歯の状態や患者さんのご希望によって異なるため、事前のカウンセリングでしっかり相談することが大切です。
経過観察
除去後には、必要に応じてレントゲン撮影や経過観察が行われることがあります。また、処置後の数日間は軽いだるさや頭痛を感じる方もいますが、多くの場合は数日で落ち着きます。
アマルガム除去の費用

アマルガム除去は基本的に自由診療扱いとなるため、費用は歯科医院によって異なります。全国的な相場としては、1本あたり5,000円から3万5,000円程度で設定されていることが多いです。
除去の難易度や処置にかかる時間、使用する機材の違いなどによっても料金に差が生じます。また、除去後に行う補綴処置(詰め物や被せ物の作製)については別途費用が発生し、素材によっては高額になるケースもあります。
たとえば、審美性の高いセラミックやジルコニアを使用する場合には、高額な費用がかかるでしょう。また、安全性に配慮したラバーダムの使用や高性能バキュームによる吸引など、細やかな対策を取っている歯科医院では、費用がやや高めに設定されていることもあります。
費用に関して不安がある場合は、事前に見積もりを出してもらい、除去から修復までの総額を確認しておくことが大切です。安心して処置を受けるためにも、費用の内訳や支払い方法についても丁寧に説明してくれる歯科医院を選ぶようにしましょう。
まとめ

アマルガムは、かつて虫歯治療で広く使われた水銀を含む詰め物ですが、現在ではその安全性への懸念から使用が減少し、除去を希望する患者さんも増えています。除去には専門的な技術と設備が必要であり、適切な手順を踏めば身体への影響を抑えることが可能です。
もし口の中に銀色の詰め物があり、不安を感じている場合は、まずは信頼できる歯科医師に相談してみてください。
アマルガム除去を検討されている方は、神戸市中央区、JR「三ノ宮駅」より徒歩30秒にある歯医者「神戸三宮アステオ歯科」にお気軽にご相談ください。
当院は、歯科治療から根管治療(歯根治療)、審美的なセラミック治療まで様々な治療を提供しています。診療案内ページはこちら、ネット診療予約も受け付けておりますので、ぜひご覧ください。